はじめに
ゲームAIプログラマーとして、私は知的で適応型のゲームAIシステムの開発に携わっています。このようなテクノロジーとアクセシビリティの融合に大変興味があります。本記事では、Owlchemy Labsが最近リリースしたバーチャルリアリティ(VR)ゲーム「Cosmonious High」の低視力またはブラインドのプレイヤーに向けたアクセシビリティ改善の取り組みについて深掘りしていきます。
Owlchemy Labsのミッションの中核としてのアクセシビリティ
Owlchemy Labsは、障がいを持つプレイヤーを含むすべての人々にVRを楽しんでもらえるよう取り組んでいます。「Cosmonious High」の開発では、部分的または完全な視覚障がいを持つプレイヤーも、目の見える人の助けなしでゲームを体験できるようにすることを目指しました。そのために、ブラインドプレイヤーが直面する可能性のある課題を理解するためにアクセシビリティコンサルタントに相談しました。
仮想世界の詳細情報の提供
最初に取り組んだ課題は、目の見えるプレイヤーとそうでないプレイヤーとの知識の格差でした。ゲームはビジュアル要素を多く使っていたため、この問題に取り組む必要がありました。そこで、Owlchemy Labsのチームは、Accessibility Object Model (AOM)フレームワークをカスタマイズし、ゲーム世界の対話型オブジェクトについての動的なテキスト-音声変換(TTS)による説明を実装しました。また、チュートリアル、ポスター、日記などの他の対話型要素についても、TTSによる説明を追加しました。
ゲーム世界のオブジェクトの位置特定をサポート
オブジェクトの説明を提供するだけでは不十分でした。プレイヤーはそれらのオブジェクトを見つける必要がありました。Owlchemy Labsのチームは、空間オーディオ、触覚フィードバック、高コントラストの視覚インジケーターを使って、プレイヤーがゲーム世界のオブジェクトを見つけて操作できるよう支援しました。さらに、移動を容易にするため、より多くのマーク付きテレポートゾーンも追加しました。
プレイヤーがアクセシビリティ体験を自在に制御
オーディオの過度な提供でプレイヤーが煙に巻かれないよう、「アシストボタン」を導入してオブジェクトの説明をオン/オフできるようにしました。また、TTSの説明がゲーム内の他のオーディオに埋もれないよう、オーディオダッキング機能も実装しました。さらにオブジェクト説明の構造と内容を洗練させ、最も関連性の高い情報を最初に提供するようにしました。
残された課題への取り組みとアップデートの公開
最大の課題は、視覚アクセシビリティモードを独立して有効化する方法を見つけることでした。当初はそれには目の見える人の助けが必要でした。最終的に、プレイヤーの体性感覚(身体の位置関係の感覚)を利用して、耳の近くでダブルタップするジェスチャーを検出する解決策を実現しました。視覚アクセシビリティのアップデートが公開され、プレイヤーやアクセシビリティの専門家から好評を得ました。Questプラットフォームでは900万件を超えるTTS要求が行われました。
まとめ
Owlchemy Labsが「Cosmonious High」の低視力プレイヤーに対するアクセシビリティ向上に取り組んだ姿勢は、ゲーム開発者がインクルーシブなデザインを重視し、すべてのプレイヤーが楽しめるゲームを実現する良い事例です。障がいを持つプレイヤーのニーズに丁寧に対応することで、ゲーム業界におけるアクセシビリティの新たな基準を示しています。
主なポイント:
- Owlchemy Labsは、障がいを持つプレイヤーを含むすべての人にVRを楽しんでもらえるよう取り組んでいます。
- カスタムのAccessibility Object Model (AOM)フレームワークを実装し、対話型オブジェクトの音声説明を提供しました。
- 空間オーディオ、触覚フィードバック、高コントラストの視覚インジケーターで、オブジェクトの位置特定を支援しました。
- 「アシストボタン」とオーディオダッキングで、プレイヤーがアクセシビリティ体験を自在に制御できるようにしました。
- 視覚アクセシビリティモードの独立した有効化を実現するための課題に取り組みました。
- 視覚アクセシビリティのアップデートは好評を得、Questプラットフォームで900万件を超えるTTS要求がありました。