はじめに
有名なアニメーションスタジオのAardman Animationsは、ゲーム開発の新しい分野を探索しており、Unreal Engine 5の力と、プロシージャルコンテンツ生成(PCG)やジオメトリースクリプトといった最先端の技術を活用しています。本記事では、最新のゲーム「Chicken Run: Eggstraction」の開発において、彼らがどのように高いコンテンツ要件と短い制作サイクルの課題に取り組んだかを詳しく説明します。
Aardman Animationsとゲーム開発への取り組み
Aardman Animationsは、「ひつじのショーン」、「Chicken Run」、「Wallace and Gromit」などの有名プロジェクトで知られるブリストル(英国)拠点のアニメーション・スタジオです。近年、同社はゲームチームとXRチームを立ちあげ、既存のIPを新しい視聴者向けにモダナイズしたり、新しい革新的なゲームエクスペリエンスの構築に取り組んでいます。
PCGとジオメトリースクリプトフレームワークの活用
登壇者のJohnとArcは、以前別のスタジオで協働し、大規模な屋外環境を作成するための包括的なプロシージャルパイプラインを構築しました。「Chicken Run: Eggstraction」プロジェクトでは、短い開発サイクルと、フレキシブルでデザイナー主導のツールの必要性に対応するため、Unreal Engine 5のPCGとジオメトリースクリプトフレームワークを活用することにしました。PCGとジオメトリースクリプトの機能と、ホワイトボックス段階での高速な反復とプロダクションレディなアセットの生成について概説しています。
プロシージャルなルーム構築とスプラインサンプリング
チームのルーム構築アプローチは、メタデータと独自のコーナー機能を埋め込むことができるカスタムのスプラインコンポーネントに基づいています。自動的にスプラインに沿ったメッシュを生成するカスタムのスプラインサンプラーを開発し、連続したルームやウォールのジオメトリを生成しています。曲がりくねったウォールを扱うために、当初はPCGベースのアプローチを試みましたが、最終的にはパフォーマンスとフレキシビリティの向上のためにジオメトリースクリプトベースのソリューションを実装しました。
パッセージと動的メッシュアクター
チームはルームをパッセージで接続する必要がありましたが、PCGの壁サンプルをパッセージに置き換える初期のソリューションは制限が大きすぎました。その代わりに、パッセージ周りにスプラインのコントロールポイントを挿入し、PCGシステムが自動的にそれらのメッシュを補償するようにしました。また、非破壊的なワークフローと、静的メッシュと動的メッシュの間の簡単な遷移を可能にする動的メッシュアクターの使用についても説明しています。
スクリプタブルツールと追加機能
チームは、カスタムエディターツールとモードを構築するための簡単でフレキシブルなフレームワークを提供するスクリプタブルツールを開発しました。これには、ウォール/ルームビルダー、パッセージツール、フロアビルダーなどが含まれ、すべてPCGとジオメトリースクリプトフレームワークを活用しています。さらに、PCGグラフ管理の改善、屋根の生成、サンプリングパターンとフロア構築機能の強化などの将来的な取り組みについても言及しています。
まとめ
Aardman Animationsが「Chicken Run: Eggstraction」の制作においてUnreal Engine 5のPCGとジオメトリースクリプトフレームワークを活用した取り組みは、室内環境の作成を効率化する際の、これらのツールの力を示しています。デザイナー主導の堅牢なツールセットを構築することで、大量のコンテンツ要件と厳しい開発期間の課題に対処し、より効率的で視覚的に魅力的なゲーム環境の実現につなげました。
主なポイント:
- Aardman Animationsはゲーム「Chicken Run: Eggstraction」の開発においてUE5のPCGとジオメトリースクリプトフレームワークを活用しました
- チームはプロシージャルなルーム構築とメッシュの自動テッセレーションのためのカスタムのスプラインベースシステムを開発しました
- パッセージを使ってルームをつなぐための柔軟なソリューションと動的メッシュアクターを実装しました
- カスタムエディターツールとモードを構築するための簡単で拡張可能なフレームワークとなるスクリプタブルツールを作成しました
- 今後の取り組みとしては、PCGグラフ管理の改善、屋根の生成、サンプリングパターンとフロア構築機能の強化などが計画されています