はじめに
Yumiは、Unityを使ったモバイルゲーム開発の専門家です。彼女の専門分野にはモバイルゲーム開発、Unity、C#が含まれています。この記事では、彼女がナラティブ駆動のRPGゲームのためのツールを開発した Big Bad Wolf Studioの取り組みについて紹介します。
課題: 大規模なシネマティックなダイアログ
Big Bad Wolf Studioは、多数の非線形的なダイアログを含むナラティブ駆動型RPGの開発に焦点を当てています。たとえば、過去のタイトルでは『The Council』には18万語、『Vampire: The Masquerade – Swansong』には14万語もの対話が含まれていました。カメラ、アニメーション、字幕を使った大量のシネマティックなダイアログを手作業で制作するのは、時間とコストがかかりすぎる課題でした。そのため、スタジオはCD Projekt RedやUbisoftなどの他スタジオのプロシージャルなアプローチを参考に、独自のツールを開発することにしました。
ダイアログエディター
この課題に取り組むため、スタジオはUnreal Engineのダイアログエディターを開発しました。ここでは、ダイアログの台詞、キャラクター、感情、ポーズ、選択肢、ロジックなどを一元的に管理できます。エディターは自動的にダイアログを分岐ポイントに基づいてシーケンスに分割し、より良い整理と再利用を可能にしています。Unreal のSequencerツールを選択することで、コンテンツデザイナーが簡単に生成されたシネマティックシーケンスを修正できるようになりました。
生成プロセス
このツールは、ダイアログエディターのシーケンスに対応するサブシーケンスを含むマスターSequencerシーケンスを生成します。字幕、ジャンプ、選択肢、ブループリントアクションなどのロジックは、イベントを使って処理されます。カメラ選択は、撮影時間、キャラクターの視認性、前回の撮影との一貫性などの要素を考慮した、ルールベースのシステムに基づいています。
アニメーションと音声の統合
アニメーションは、ポーズベースのアイドルアニメーションと、キーワードジェスチャーの組み合わせで処理されています。音声のリップシンクは、ダイアログエディターの台詞IDに一致するファイル命名規則を使って統合されています。また、開発中の初期フィードバックのために、プレースホルダーのテキスト読み上げとリップシンクが生成されます。
課題と教訓
ダイアログスクリプトの変更に伴う手作業の変更点を維持することが主な課題でした。これはバージョン管理システムに似た統合システムによって解決されました。教訓としては、カスタムのSequencerトラックの重要性、ナビゲーション用のマーカーフレームの使用、キャラクターの位置ずれの対処などがあげられます。生成の必要性を最小限に抑えることが、競合やミスを減らすために重要であると強調されています。
まとめ
Big Bad Wolf Studioの手続き的なダイアログ生成ツールにより、シネマティックなダイアログを大規模に制作できるようになりました。Unreal Engineのツールと独自のダイアログエディターを活用することで、ダイアログスクリプトからレベルシーケンスを効率的に生成しつつ、手作業によるカスタマイズも可能になりました。
ポイント:
- Big Bad Wolf Studioは、ナラティブ駆動RPGのシネマティックなダイアログを大規模に制作するための手続き的ツールを開発しました。
- このツールは、Unreal Engineのダイアログエディターを使って、ダイアログ制作の全側面を一元的に管理し、自動的にシーケンスに分割します。
- 生成プロセスでは、マスターSequencerシーケンスにサブシーケンスを持ち、ロジック処理にイベントを、カメラ選択にはルールベースのシステムを使っています。
- アニメーションと音声の統合では、ポーズベースのアニメーションやリップシンク、プレースホルダーのテキスト読み上げを活用しています。
- スクリプトの変更に伴う手作業の変更点の維持が課題で、Sequencerトラックの活用とгенерацияの最小化が教訓として得られました。